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最高裁判所第二小法廷 昭和25年(オ)378号 判決 1953年1月23日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士水崎幸蔵の上告理由について。

原判決は、所論(ロ)(ハ)の部分が上告人及び訴外高田一二、沢田為彦三名の共有に属する家屋番号汐田町二番の既登記の既存建物に増築されたものであり、右各増築部分が既存建物に対し主従一体関係をなしていること及び上告人において右(ロ)(ハ)の各部分を増築したことを認定した上、右各部分は増築当時附合により上告人及び前記訴外人等三名の共有に帰したものと判示しているのである。そして原審認定の事実によれば右各増築部分が既存建物に対し添附の関係にあることを認められないことはなく又右増築部分が取引上既存建物と別個の所有権の対象となり得べきものであるからといつて、ただそれだけの理由によつて既存建物所有者が附合による増築部分の所有権を収得するを妨げるものではない。蓋し民法第二四二条但書は附合物が取引上独立性を有する場合においても、権原によつて附属せしめられた場合に限り、これを附属せしめた者に附合物に対する所有権を保留せしめる趣旨と解すべきであるからである。ところが上告人が前記(ロ)(ハ)の増築部分を権原により前記既存建物に附属せしめたことは原審において上告人の少しも主張するところでないから、右増築部分が増築当時既存建物の共有者である上告人及び前記訴外人等三名の共有に帰したものとする原判示は相当であつて、上告理由第二点中この点につき原判決には民法第二四二条の解釈を誤つた違法があるとの論旨は理由がない。

又民法第二四二条は、不動産の附合物あるときは不動産の所有権は当分その附合物の上にも及ぶことを規定したものであり、この場合たとえ附合物が取引上当該不動産と別個の所有権の対象となり得べきものであつても、附合物に対する所有権が、当該不動産の所有権の外に独立して存することを認める趣旨ではないと解すべきであるから、これと異る見解を前提とする上告理由第一点の論旨も亦採用の限りでない。

その他の論旨は、最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律(昭和二五年法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものとは認められない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条により裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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